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巴里/リンクスロマンス 2005/12 ISBN:9784344806863
★4.5<酔いを醒ますために寄った公園で、待ち合わせの男と間違われて抱かれてしまう英之。
平凡に生きていたはずの自分に突如降りかかった災厄。
もう二度と会わない男とは思いつつも誤解されたままであることが受け入れがたく、いつまでもその夜の男のことを忘れずにいたある日、母の再婚相手の息子という立場で再会してしまう。
その男が思っている「自分」は違うのに、と思いながらも感じてしまったことは取り消せず、自分の中に自分でも知らなかった部分を認識させられ身動きが取れなくなってしまう真面目な英之。
なのに義理の兄として荏田の仕事ぶりを知るうち、どうしてそんな出会いをしてしまったのか、もう一度やり直せたら、と強く思うようになるあたり、うまくいかない現実のもどかしさがすごくよく伝わってくる。
どちらかと言うと気が弱そうな英之が、それでも誤解されたくないと頑張って自分の話を聞いて欲しいと必死で伝えるのに、勝手に思い込んでなかなか英之の話を聞き入れようとしない荏田はちょっと酷い男かなと前半思えたけれど、誤解が解けてしまえば、まあガキ大将のような俺様(攻)といった感じかな?(笑)
「この男は、いつも俺の言葉を聞いてくれない。自分の出した答えだけが正しいと思ってる。」
本文にこんな一文が出てきますが、まったくもってどうしようもない男なのだけれど、それでもこの男が好きなのだというどうしようもない割れ鍋に閉じ鍋みたいな二人のお話。
二人のキャラが好きになれるか微妙かなと思いますが、まあ俺様(攻)に振り回されるお話が好きな人にはよいのでは。
好き度は★4と迷って一応最後英之が荏田にしっかり愛されているらしいことが伝わってきたし、荏田は荏田なりに悩んでもいたんだということがわかったので甘めに。