火崎 勇/信じてないからキスをして


 

(攻)仕事は出来るがちょっと問題児的刑事、(受)美人検事
(受)視点

【梨 とりこ】【ガッシュ文庫】【2010年5月刊】

★4.5(-)<検事の千条のことを美人だのなんだのと、顔を合わせればからかってくる刑事の加倉井はいつも強引で、普段無理だと言っても聞かず、ごり押ししてくるくせに、あるとき預かった案件で逆に"待った"をかけられ事情を聴くが、歯切れの悪い加倉井に千条は加倉井の捜査について回ることに。
暴走する加倉井を真正面から公正に見極めようとする千条だったが…。

二人が加倉井の過去と密接に繋がる人物が関わっているかもしれない事件の真相に迫っていく中、千条の、優等生で打たれ弱そうに見えて強い部分が、加倉井の、やり手で打たれ強そうに見えて意外と弱いのかもしれない部分が見えてくるのがおもしろい。

そしてそんな弱い部分を見せておいて割りきったときの加倉井の、仕事を押し進めようとするときのように、強引で迷いなく追い詰めるところも男っぽくてよかったし、意外にイタリア人のようなストレートな部分もあったり、千条も潔くて素直さもあって、恥じらいもあるけれど、意外に言うことは言う部分とか。
二人のちょこちょこ見え隠れする意外な部分に、そのたび小さく、いいな、と思えたお話。

ただ全体的には千条が恋愛感情ですごく悩む、という展開ではないので個人的好みのお話とはちょっと違った分、好き度は少し低めに。