火崎勇/強引な嘘と真実と


 

麻生海 : 幻冬舎  リンクスロマンス: 2008.4 ISBN:9784344813175

 

★4.5<プロフィールを公開せず活動している小説家の遠美真人はホテルのパーティに参加した際、モデルの二ツ木 斎(さい)と出会う。
強引な二ツ木のペースに乗せられがちではあるものの、一見おとなしそうに見えるのに案外しっかり言い返す勝気な遠美をすっかり気に入った二ツ木から、とりあえず自分と友人づきあいをするよう遠美は言いくるめられ…。

遠美は小説家であることを隠し、二ツ木の誘いに乗る中で、二ツ木のことを魅力的なところがある人間だとは認めるようになるが、かなり後半になるまで恋愛感情はなく、逆に無警戒なところが危なっかしく、そのことで二ツ木と喧嘩にまでなってしまう。

あのときのあの状況での遠美の無防備さには、二ツ木の言い分もわからないではない。
ただ、じゃあだからと言ってリラックスのためにそういうものを許可なく使うあたりはちょっと納得できないものもあったけれど。

でも最後まで読んでしまえば結構二ツ木は好きです。
仕事に取り組む姿勢はかっこいいし、傍若無人に見えるけれど、二ツ木なりの筋は通す、みたいなところが。
特に本篇のその後、の二人のお話での二ツ木は、ある意味強引だけれど、彼なりの譲歩があって、強引に見える部分には彼の我慢できない愛情が感じられ、そりゃあ遠美も怒るに怒れないね、というあたり。
実際あんなふうに愛されたら迷惑な部分も多いとは思うけれど(笑)、まあでも恋人冥利に尽きる愛され方と言えるのかもしれないです。

好き度は★4と迷って、でも二ツ木が魅力的だったので甘めに。