火崎勇/甘やかされるキス

デザイナーの鈴蔵嘉瑞が休暇で訪れていた別荘に、嵐の夜一人の男がやってくる。
土砂崩れで道が不通になり足止めをされたと言うその男・斑尾笠は、初めは野性的な外見通りの不遜な態度で鈴蔵をお姫様扱いするが、数日滞在するうち美しいが尊大で鼻持ちならないという噂とはまた違った鈴蔵の本質を知り、「お前に惚れた」と口説いて別れ際キスを奪う。
正体も明かさないまま不埒なマネをして去った斑尾を腹立たしく思いつつ、東京に戻った鈴蔵があるプロジェクトのコンペに赴くと、そこには▼ネタばれ▼ライバル社のデザイナーとして斑尾の姿が…。

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甘やかされるキス (CHOCOLAT BUNKO) [ 火崎勇 ]
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ショコラノベルス:2003.11 円陣闇丸 ISBN:4883029158

 

★4<美人デザイナーの鈴蔵が、ひょんなことから休暇中の別荘で共に滞在することになってしまった斑尾という謎の男。
自分とは違い野性的で活動的かと思えば知性的な面も持つ斑尾から好意を寄せられ、鈴蔵もまんざらでもないと思い始めたところだったが、東京に戻り斑尾との再会は最悪なものとなってしまう。

お姫様のように、それなりにプライドを持ち、世間の汚い部分をあまり知らない鈴蔵が、信用できなくなってしまった斑尾からの忠告を聞かず危機に陥ってしまう展開はすごく私的に苦手なのだけれど、クールビューティーな鈴蔵はともかく、粗野なのに実力もある斑尾がカッコイイ。

ラスト前、プライドを捨てきれず斑尾を何とか制止させようと恥じらう鈴蔵に、斑尾が言う「俺を止めるな」という台詞がすごく印象的。
ただよかった部分も多いのだけれど、私的には危なっかしいくせに見る目が無くて、(攻)キャラをハラハラさせてくれるはねっ返りな(受)キャラが苦手なだけに、好き度は一応★4に。

でもちょっと勝気な鈴蔵と無頼漢な斑尾、二人の関係はどちらが勝ってどちらが屈した、というものではない、と鈴蔵が説明付けるあたりもよかったし、斑尾がヘンに偉そうにしているのではなく、鈴蔵を欲しいということに関しては土下座もいとわないほど、素直な部分が見え隠れするのもよかった。
お馬鹿さんな(受)でもイライラせずに読める方にはオススメかも。