火崎勇/最悪にして最高の抱擁


 

亜樹良のりかず 幻冬舎 リンクスロマンス : 2006.3.29 isbn:4344807340

 

★4<信じたいのに信じられない。手酷く受けた傷は深く、不安に思う気持ちを止められない。
でも話が終わってみればやっぱり『はた迷惑』な痴話喧嘩?(笑)
今回の(受)キャラ・華原は、酷く傷つき、不安に思ってばかりいる臆病な男のような面もありつつ、でも臆病だからこそ、それ以上に傷つけられることを恐れ、強く言葉を返したりもする。
痴話喧嘩に巻き込まれたような、自ら引っ掻き回したような男・森山との攻防はかなり激しい。
今回は引っ切り無しに相手が言い寄ってくるようないい男のはずの(攻)キャラ・門倉のほうが乙女な部分があったのかも?(笑)
自信家そうな男の、本気の恋にはからきし、という部分がもうちょっと見たかった。

あと今回は、この森山があそこまで挑発したんだから、華原がちょっと鬱陶しいほど不安に思うあたりは仕方がないかも、と思いつつもちょっと微妙な感じ。
基本的に心の内をぐるぐると悩ませ、それが描写されるお話は好きだから火崎さんの作品は好きだし、今回もお話も悪くはなかったのだけれど、どうして今回は微妙かも、と感じたのか考えたら、あまり仕事の話がなかったからかな、と思えた。
あまり仕事の話にスポットが当たっていて恋愛面に乗り切れないお話の時もあるけれど、あまりに恋愛面にスポットが当たり過ぎているともっと恋愛部分以外の面を見たいと思ってしまうのは我儘かな?
でも基本的に不安になる華原の気持ちもわからなくないし、門倉の強気に出られない気持ちもわかったから好きな話なのだけれど、門倉にしろ、華原にしろ、森山にしろ、どれも微妙なさじ加減が違えば…という思いが残った分、好き度は★4.5とすごくすごく迷って、一応★4に。