火崎 勇/グッドラックはいらない!


 

キャラ文庫 2001.1.31 果桃なばこ isbn:4199001700

 

★4<仕事の合間に口説く割に、いざ仕事モードに入ると、しっかり仕事人の顔に戻ってしまう大路。
通りすがりの具合の悪い人を放っておけないような優しい面もありつつ、ダメなことはダメと言える椎野。
32歳でそんな大会社の社長なの??という部分を少し気になったものの、結構仕事の面での話しも、まあおもしろく読めたし、何故か三流大学出の椎野が社長秘書に配属され、大路にも気に入られていることで、逆に自分に自信が持てないような面でいろいろ悩む部分も、まあよかった。

あと、大路が本当に真剣に椎野とのことを考えているというところや、自分のズルイ部分も何も恥じることなくさらけ出せてしまう部分にはすごく好感が持てたし、椎野の、大路のようなデキる男に少しでも近づきたいと、模索し、焦る部分や、大路に気をつけろといわれても、自分の考えを曲げない頑固なところ、嫉妬する大路に、自分は大路しか見えていないということをあっけなく知らせて大路を驚かせてしまうところもよかった。

ただ、何か私の激ツボ本としては少し違うように感じるのは何故か、読後しばらく考えた結果、火崎流哲学がちょっと多すぎるのではないかと思った。
椎野の一人称で進められる物語。
大路へのまだ不確かだった感情に対する思考、仕事への取り組み方、別に本筋から脱線はしていないものの火崎さんのエッセイのような部分が微妙に多い感じ。
私は火崎さんのそういう部分の考え方が好きなので気にはならなかったけれど、特にそういうものに興味のない方が読まれたら、少し椎野の思考の長さにテンポの悪さを感じてしまうかも。

ということで私の感想は★4
ちょっと★4.5には足りないかな、という感じ。
あと、気になったのは、▼ネタばれになりますが▼大路の隠していたことを椎野が知ってしまうシーン。
すんなりわかりました? あそこで何を椎野が悟ったのかサッパリわからず
そのまま読み進めていいのか、前に戻って何を悟ったのか、読みなおしたほうがいいのか、しばらく迷ったのは私だけ・・・?(汗;)