火崎勇/風でなくても

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風でなくても (Basil novels) [ 火崎勇 ]
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朝南かつみ/バジルノベルス 2005/06  isbn:4861170427

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blreview.hatenablog.jp


★4.5<仕事でも、自分の会社の都合より、取引先の都合を考えてしまう「いい人」なところのある野々宮は、高校時代クラブの後輩であり、恋人だったけれど途中でふられてしまった後輩の遊馬と職場の部下としての再会する。
複雑な思いを隠し、上司として遊馬と接するが、もともと社交的なほうではなかった遊馬が、今は必要以上に他の同僚とも接することのない態度をとっていることに心配し、そしてどこかふっきれない思いを抱えた野々宮は、遊馬と同じ大学に行っていた後輩に会って話を聞き、自分が知らなかった遊馬の事情を知ってしまう―――。

二部作の前半のお話では、再会から過去のお話を交えて再び元サヤに収まるまでなのだけれど、ふられた相手と職場が一緒になって、野々宮が「やりにくいな」と思うのではなく、いかに遊馬のほうに「やりにくいな」と思わせないため、社内で遊馬の上司としていろいろ気遣ってやる「いい人」なところにすごく好感が持てたし、遊馬の人慣れない不器用な子供のようなところも庇護欲をそそる。

後半、最後まで読んでしまえば、野々宮ってこんな人だった?(笑)と思えるほど、「初恋を実らせた大人」になってしまった野々宮は「いい人」のなりを少しひそめてしまった気はしたけれど、それはそれで悪くはなかったし、ぐるぐる思い悩む野々宮も同じく。
また、何とか今までの自分を変えようと必死な遊馬は健気だし、何より、最後のくだりで、逃げてしまうかな、と思った遊馬が、逃げずに野々宮に食って掛かろうとしたところに、ものすごい必死さが見えて、可愛いいというか、野々宮にとっては、なんて愛しい存在だろうと改めて思えただろうなぁと思えたのがよかった。

好き度は★5とものすごく迷って、やっぱり若干前半と後半の野々宮の印象が違った部分、もうちょっと後半も「いい人」っぽさが強めだったほうがよかったかな、と思えたので、かなり★5に近いけれど一応★4.5に。