火崎勇/君は僕の太陽だ!(2)

「好き」と決めたら一途になるのがポリシーの新米編集者・高城暁の恋人は、担当作家の津森良紀。そしてそんなふたりの愛の結晶(?)由麻も三歳になり、新型ファミリーは、平凡とは言い難くも平和で幸せな日々を送っていた。だがそこに、嵐の予感。高城にちょっかいをかける医師・久能と、由麻の母親・由加里の出現が、津森を内心苛立たせ・・・。


 

 

ショコラノベルズ 1997.9 蝶楽

 

★5<前作は事件性メインの話しだったけれど、今回のは、深く二人の関係を考えさせるような出来事がメインで、恋愛モノ、としてボーイズラブを楽しみたい私には、こちらの方がとてもよかったです。

いつまでも永遠に続く恋愛感情なんて信じられない津森に、最初こそ今日と明日だけの絶対の愛を誓う、ということでうまくいくかのように思えた高城が、その現状に疑問を抱いていく。
このままでいいのか。これからどうすればいいのか。
そんな中、突然の津森の異変に高城は動揺してしまう。
それでなくてもコミュニケーションがうまく取れる相手ではないのに、何も言わずに背を向けてしまう津森に、何が悪かったのか、どうしてあげればいいのか、思いつくことが出来ない高城。
頼って欲しいのに頼ってもらえない自分が不甲斐なくて仕方ない高城の健気さも、また、津森の不器用さもせつなく、▼ネタばれになりますが▼津森が思いつめて身動きが取れなくなっているとき、井沢にその気持ちの正体を言い当てられるシーンでは久々に泣いてしまいました。

男同士の腹を割った会話に津森の井沢への信頼度が伺えたし、高城が井沢に頼ったことを知らされ、津森の複雑さが感じられたし、井沢に言い当てられた、津森自身信じられないような、自分の大切な気持ちには、認めるのが怖いような、大事な気持ちに困惑する気持ちが痛いほど伝わってきた。

そんな中、紆余曲折を経て、ラスト、なかなか豪快で意外なシーンを持って来られて驚きと共に爽快で、そして甘々な気分が味わえました。
本当に、まさか、高城が久能に迫られベロちゅーをされたシーン、あんな可愛い行動に出られるとは津森でなくても(笑)思いもしませんでした。
パンチだけなら、それまでの高城の行動パターンから想像できたものの、その後の津森の元へ泣きに走るというのは意外で新鮮で高城が可愛くて、その後の津森の「愛されてんだよ、俺は」という啖呵もよかったし、最後のえっちも、それまで痛みの伴う跡を残すことで、自分への愛情を計ろうとしていた津森が、初めて高城を愛したいから抱く。
当然そんな優しく愛される行為に切ない喘ぎ声をあげてしまう高城くんは色っぽくて可愛い。(笑)

子供が絡んでいるようなファミリーなものは、ボーイズラブ的にイマイチ苦手な私ですが、ちゃんと由麻ちゃんが絡んでいるのに、しっかり二人の恋愛メインの読み物として満足できました。
ということで私の好き度は★5
ちょっとグルグル悩みすぎかな、と思わなくないので、正確には★4.5と迷いましたが・・・。

 

★前作(1)↓

blreview.hatenablog.jp