火崎 勇/真夜中が過ぎてゆく


 

ショコラノベルズ 2000.10.20 北畠あけの

 

★5<前半、とにかく水季の苛立ったキャラクターになかなか馴染めず、今回の火崎さんのは合わないかも・・・とガッカリしそうになったのですが、やっぱ火崎さんは私を裏切りませんね。(笑)

とにかく八束が冷たい冷たい。
苛立ってもなかなかそれを素直に見せることの出来ない不器用な水季がものすごく不憫でせつなくて仕方なかったです。
くすぐったいような甘さはあまりないけど、悔しいほどせつない気持ちが味わえる1冊。

それにしても火崎さんの作品の好きなところは、小道具がホントにさりげに上手にストーリーや感情に絡んでくるところ。
なんとなく、ああ、そのためにその小道具が出てきたのね、というわざとらしさもなく、例えば友人と何気に飲む珈琲に主人公の気持ちがなぞらえてあったりして。

もちろん甘々だったりせつないお話しというだけでも好きですが、その上、文章が特に上手だと読んでいてすごく気持ちいいですね。
もちろんヘンな気持ちよさじゃなくて。<当たり前(笑)
あと、イラストの北畠あけのさんも大好きなのでよかったです。
というわけで私の評価は、前半入りにくかったのと、もうちょっと甘々さも見たかったという希望もあるものの、やっぱりせつない、という点がよかったので★5。
厳密には(笑)★4.8ぐらい?