火崎勇/アナタはソレを我慢出来ない

「好きだ。俺の恋人になってくれ」高校の卒業式前夜、須賀は憧れていた友人の一堂に呼び出され、突然の告白を受ける。
戸惑いながらも、一堂の特別になれることを喜んで須賀は彼を受け入れた。
恋人だからキスやそれ以上のことだってするけど、身体を繋げることは出来ない。
だから、一堂が女の子を抱くのはしかたない…。
そう考えていた須賀だったが、ある日友人に見せられたHなビデオから、男同士でも身体を繋げられることを知って…。


 

リンクロマンス 2003.5 佐々木久美子

 

★5<男同士では男女のように身体を繋ぎ合うことは出来ないのだから、恋人である一堂が自分とつきあいながらも女の子を抱くのは仕方がないのだと思っていた無垢な須賀が、ある日男同士でも身体を繋ぐ方法があることを知る。

男からも人気のある一堂と真面目な須賀は、性格も趣味も違い、接点はなかったけれど高校からの友人。
そして卒業間近に、一堂からの告白で恋人に関係を昇格させた二人。
順調にいっているように見えた二人の関係だったけれど、実は、おっとりした真面目な須賀の一堂への気持ちは、自分でも自覚がなかったものの、まだ恋には至っていなくて、話しが進むにつれ、恋することの欲や不安を抱え、一堂の気持ちに追いついていくようになる。

二部作の前半は結構穏やかな感じで、悪くなかったけれど、すごく引きつけられるというほどの話しでもないなぁという印象だったのに、後半のお話しでは、もっと一堂のことを知りたいと思う須賀と、内心須賀の可愛さを他人に気付かれるのがおもしろくない一堂の嫉妬の入り混じったストーリーの中、言葉足らずの一堂に拒絶される須賀はすごくせつないし、ラスト、強がりで、かっこつけな一堂が、かっこよくなりきれず、わがままな子供みたいな、須賀からの愛情を切望するような本音を見せ、「切ない声で、命令する」というところは、すごくせつないほど甘々でよかった。