火崎 勇/恋愛迷宮

俺以外に触れさせるなんて、許さない ―――童顔の社長令息・寿々木輝美は素性を隠し、野性的な容貌に圧倒的なオーラを纏うエリート・木嶋の下で働いている。彼への純粋な憧れ──だが誤解した木嶋に突然「好きだ」と押し倒されてしまう。そして肌を這う彼の指や舌から与えられる快楽に、抵抗さえできず呑み込まれていき……。注がれる彼の『愛情』と『憧れ』の狭間で戸惑い悩む輝美は「好きな人がいる」と嘘をつき逃れようとするが──!? すれ違うほどに惹きつけられてゆく大人の純愛!! 

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恋愛迷宮 (ARLES NOVELS) [ 火崎 勇 ]
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海老原 由里 ワンツーマガジン社 arles NOVELS : 2006.12
ISBN : 4-903012-87-5

 

★4.5<誤解、すれ違いもの。

仕事の出来る上司・木嶋のもとで、可愛がられることに浮かれ、兄を慕うように懐いていた輝美は、誘われて旅行に行った先で木嶋にその気持ちを誤解され押し倒されてしまう。
木嶋と同じ「好き」ではない気持ちを伝えるが、うまくいかず今までの関係が一変してしまう。
その後ようやく自分が木嶋と同じような気持ちでいることに気がつくが、もう木嶋は輝美の気持ちを素直に受け止められなくて…。

無理強いすることなく、自分の気持ちを押し付けたわけでもなく、ちゃんと紳士的にその気持ちを確認して相手も「好き」だという言葉を聞き、それでは、と有頂天になって手を出してみれば、それは恋愛感情の好きではなかった、と言われてしまう木嶋は本当に気の毒。
でも男同士で恋愛感情が存在するとは思いもしなかった、そういう面でウブな輝美にとっても、突然押し倒されて、それはそれで気の毒。
こんな切り口のBLがあってもおもしろいな、と思えたお話。

ただ、やっと輝美が自分の気持ちに気づいたときには木嶋に聞き入れてもらえなくてせつない思いを抱えるあたり、火崎さんの描く主人公らしく前向きな輝美は、せつない、という部分よりそれでもけなげに頑張る部分のほうの印象が強くなってしまったのが残念。
でも最後に隠していた素性を明かして命令できるなら命令したいのだと涙ながらに訴えるあたりはすごくよかったです。