建設機械の会社に勤務する間宮由紀は独身サラリーマン。新人研修で面倒をみた後輩、そして一緒に仕事をしてきた相棒でもある竹川の神戸転勤が決まった。出発の日、東京駅に見送りに行った間宮は、新幹線の発車間際、竹川に突然、唇を奪われてしまう。こんなときに告白まがいのキスするなんてずるいぞ!自分の気持ちになかなか素直になれない間宮、そんな彼を狙うライバルも出現して・・・。離ればなれになったときから始まったふたりの恋の行方は?
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イー・コネクション Gene Novels 岬ありあ isbn:9784434015311
★4<ちょっと間宮の胸中を語る部分が多すぎるかな、というきらいはあるものの、自分を狙う男が竹川以外にいることに気付きもしなかったり、竹川に本当の気持ちを言ってしまったら、それでなくてもうまくいきにくい遠距離恋愛で、捨てられたときが怖いからと、甘えて見せることはあっても言葉は口にしない頑固さや気弱さを持っていたりする間宮が、竹川のことで一喜一憂する姿がよかった。
だけど最後、少し▼ネタばれになりますが▼間宮が竹川に「好き」という言葉を言い出せるようになるきっかけに、間宮を狙うライバルにあそこまで追い詰めさせなくても・・・というところは痛かったし、ゴメンナサイ、本文とは関係ないのですが、やっぱりイラストと本文のイメージが合わなさ過ぎて読んでいて辛かったです。
中でも、せっかくのメガネ美人さんらしい間宮が、竹川に乱されて、淫らさをかもしだすために、メガネが半分ずり落ちたようなイラストがあるのですが、どう見ても、淫らな雰囲気は見えてこないばかりか、まるで階段から落ちたか、廊下で滑って転んだのかと思うようにしか見えなかった。
それに後ろから覆いかぶさる竹川も、多分間宮の気持ちがいくらかは自分にあることを自負し、間宮が自分の腕の中にいることに満足げな雰囲気を描かれているシーンなのだろうと思うのですが、そのイラストからは、どうも小馬鹿にしたような表情にしか見えず、とても間宮への愛情に溢れているようには見えなかった。
間宮が、竹川が事故にでも遭ったのかもと心配して、だけど何もなかったとわかり、涙を流すあたりの間宮はなかなか可愛く描かれているし、竹川も、ライバルと対峙するあたりの緊張感のある厳しい表情などでは男前にも描かれていたりするので、一概にこのイラストさんをダメダメだとは言いませんが、イラストにはなるべくこだわらずに読む私でさえ、本文のイメージへの合わなさぶりに閉口したぐらいなので、イラストにこだわりのある人で、特にえっちシーンのイラストにこだわりのある人には、辛いかも、と感じた。
それに作品的にも、まあ悪くはないのだけど、火崎さんの作品と思って読むと、「すごくいい」と感じた作品よりは弱冠、物足りなく思ったり・・。
ということで私の好き度は無難に★4