火崎勇/恋は純情に愛は情熱で…

【BL小説】 ネタバレ感想 ひ-火崎勇

「脱げよ、お望み通りのセックスをしてやろう」エリート営業の槇原は、新しい取引相手である総合商社の担当・信田に、人生で初めての一目惚れをしてしまう。
恋愛を性欲のはけ口くらいにしか思っていなかった槇原にとって、これが初めての恋。
しかし、別れた男との修羅場を目撃され焦る槇原に、純真で純情なはずだと思っていた信田が「遊びで私を抱いてみませんか？」と誘いをかけてきて…！？この恋は酷く淫らで誰よりも純情。
甘美な欲望に囚われる…渾身のラブロマン登場。


 

角川ルビー文庫：2003年 11月　甲田イリヤ ISBN:4044490031

 

☆恋愛取引とリンク作

★４．５＜遊び人のはずの槇原が、どうやら取引相手の信田に本気で惹かれてしまう。
おとなしそうに見えて頭の回転がよく知識も豊富な信田だったが、槇原と別れた男の修羅場に出くわした際、度胸の据わった面を見せたばかりか信田のほうからベッドに誘われてしまう。

経験豊富なはずの槇原だったけれど、本気で惹かれた初めての相手の、どうも不可解な言動に振り回されてしまう。
自分は遊ばれているだけではないのか、という不安が頂点になる場面での気持ちの揺れ動きは本当にせつなく、乱暴なことをしながらもそんなことでさえ自分を忘れないで欲しいのだと切に願うところがよかった。

一読したときはサラリと読んでしまい、期待したほどの作品ではないかなと思えたけれど、やっぱりじっくり読んでみれば、言葉の使い方が本当に上手だし、槇原がよくある自信家な遊び人とちょっと違って、物のとらえ方がとてもナチュラルで、多少警戒していた信田が次第に打ち解けて行くあたりもとてもよかったと思えた。