火崎勇/二人のポジション

アクア文庫 2005年01月 不破慎理   ISBN:4775504894 

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★4<年上だし、顔でもなく華奢でもない。だからせっかく好きだった相手・氷室に告白されてつきあうようになったのに、抱いてほしいと言えなくて思いつめ、ぎくしゃくしてしまう石坂。
氷室は、石坂の心中を知らず、臆病な石坂のペースを待とうとするけれど…。

今回は前半、後半に分けて、臆病な石坂の悩みが二つ。
話し合ってみればすんなり解決することでも、相手に嫌われたくない、という思いが強すぎて本心を隠そうとしてしまう石坂の悩みに年下の氷室が振り回されるお話。

仕事にしても友人を紹介するにしても、その優秀さをひけらかすようなことのない、まっすぐで思いやりがあってさりげない優しさのある石坂というキャラは、かわいらしい人でよかったけれど、勝手に悩んでぐるぐるしてしまう石坂が、怖がりな乙女さんに見えるか、いい年して悩み過ぎな男(笑)、に見えるかは微妙なところかも。

でもその分振り回されて、こちらも一生懸命自制しながら悩みに悩むことになる氷室が、気の毒で苦笑いを誘うような部分が微笑ましいと言えなくもないし、臆病な石坂を年下ながらも氷室のほうが投げ出したりせず根気よく待とうとしたりするところに好感が持てた。
あと、逆切れしたような部分がないわけではないけれど、それも突き放すような切れ方ではない、何もしないで自分の手から恋人が離れていくのは嫌だという気持ちが高まっての行為であって、石坂を傷つけたり背を向けようとしなかったあたりもよかった。

ただ全体的にはやっぱり火崎さん色の強い、恋する悩みというモチーフが強いお話になっているので、火崎さんのお話がそれほど好きではない方にはお話に入り込みにくいかも。
でも個人的には作中、『人間はそれぞれが水と油のように別物だというのに、無理にでも一つになろうとあがいてばかりだ。ドレッシングのようにシェイクしたって、時間が経てばまた分離してしまうというのに』、という一文なんてとても印象的で、火崎さんの作品は全般的に好きな方なだけに、この作品も嫌いではなかった。


【旧→Eclipse romance:1999年09月】

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