火崎勇/寡黙に愛して

借金が返済できなければビルを立ち退け!?不動産会社の若き社長・宗像に、難題を突きつけられた早紀。
祖母の残した家を手放したくない早紀は、借金のカタにハウスキーパーをすることに!!部屋の掃除から毎日の食事の支度まで、懸命に働く早紀。
けれど、宗像の眼鏡の奥の表情は、いつも静かで読みとれない。
ところがある日突然、宗像のオフィスで補佐をするよう命令されて…。

 


 


キャラ文庫 2003/11 北畠あけ乃
ISBN:4199002871

 

★4.5<二人きりで暮らしていた祖母を突然失い、途方に暮れる早紀に降って沸いた借金。
催促に来た宗像の口数は少なく表情は読み取りにくい。
とにかく思い出の家を手放さないですむように、と早紀は借金返済のため、宗像のハウスキーパーをすることに。

ずるいことを考えず、あいまいな返事をせず、出来ないことは出来ない、出来ることは出来る、と謙遜もせず言い切れる早紀の素直で誠実な言動に、頑な宗像の態度が少しずつ軟化していくのが見え隠れするのが楽しい。
また、そんな宗像から自分を認めてくれているらしい発言を与えられては喜びを感じ、いつしか恋心になっていく過程が素直。

すごくせつなかったり甘かったりするわけではないけれど、いい育ち方をした早紀が、似たような立場にいながら早紀とは違い、頑なになっている宗像の殻を取り払っていくお話は火崎さんらしく描かれ、それが良くも悪くも、という感じ。
火崎さんの作品が好きな人には火崎さんらしくていいとも言えるし、潔い素直さを持つ(受)キャラの話はどこかで読んだ話だな、という気がしなくもない。
ということで、好き度も★4と迷って一応★4.5から差し引くほどの要素がなかった、ということで★4.5に。