陸裕千景子 ルビー文庫 2004/02
・あらすじ・
節操の無さは社内でも噂になるほど素行は最悪ながら、仕事は一流の成果を上げる上司の石橋。
最初は反発する気持ちもあったものの、仕事に対するものの考え方の正しさに、最初は憧れ、次第に特別な感情を持つようになる文月。
石橋のほうでも、石橋の素行の悪さを正面から忠告してくるような文月の、仕事に対する素直さと頑張り屋なところが気に入り、ストレートに文月を口説くようになるが、その頃文月は石橋の秘密を知ってしまい、素直に石橋の口説き文句を受け止めることが出来ず苦しむことになってしまう。
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・レビュー・
★5<
石橋は文月が考えていることなど
つゆほども知らず、
自分の意思の赴くままに文月を口説くが、
文月は口説かれれば口説かれるほど
喜んでしまいそうになる自分を制するハメになるところが
本当にせつない。
石橋のことを糾弾することも出来ず、
ただ石橋が文月に知られているとは知らない秘密と、
石橋への日々募る想いとの狭間で
身動きの取れない文月は、
読んでいるこちらまで胸が締め付けられるよう。
文月の、仕事に対して頑張る姿も好感が持てるし、
強気なところがあるかと思えば、
優しさのあまり、問題を抱え込んでしまうところも健気でよかった。
久々に泣きそうになったお話。
いい加減だった男が
文月のために改心するらしいので、
しっかり幸せにしてあげて欲しいな、と思えた。