火崎 勇/満月と狼


 

【有馬かつみ】【徳間書店/キャラ文庫】【2011年7月刊】

 

★5<ヤクザで威圧感たっぷりの強い男・鬼迫は、ふらりと入ったバーで美人の男・小鳥遊に一目ぼれし、すかさず口説くがガードは固い。
それでも小鳥遊をそれだけの価値のある男だと見込み、ストレートに口説きながらも急ぎ過ぎず小鳥遊が堕ちる日を待っていたが、ある日思いがけず互いの素性を知ることになり…。

火崎さんの「さよなら優しい男」とちょっと似たような設定のお話になるでしょうか。
鬼迫の正体を知ってつきあえないと言いだす小鳥遊に、苛立ちながらもどうすれば手に入るのかを冷静に考えて動き出す鬼迫。
力でガンガン押しそうな男に見えてそうではない。力があるだけに自制し冷静さを持つ男。
時々スネた小さい子供、というほどでもないかもしれないけれど、ちょっと可愛い人だな、と思える部分があるのもよかったです。

肝の据わった小鳥遊には、鬼迫があまりにストレートに口説きすぎてそれが真実の気持ちなのかわからない、というところでしょうか。
おまけに真剣だ、という鬼迫が口説く文句の中に自分が狼男だと折に触れて言いだすことで、鬼迫の真意が全くわからず小鳥遊が困惑するのもよくわかります。
最後小鳥遊が「嬉しくてたまらない」と言ったあたりのやりとりがすごくよかったです。

好き度は★5にはちょっと足りないかな、という気もしたけれど、★4.5にするほどの部分もなかったと思うので★5に。