火崎 勇/それでもアナタの虜

売れっ子モデルだった椿原倫は恋人で駆け出しのデザイナー・榎並京志郎からプロポーズをされるが、一流デザイナーになる夢を持つ榎並の夢を邪魔したくなくて、一流デザイナーになったその時には…、と返事を先延ばしして8年。
夢を実現した榎並は一流デザイナーになるが、今度は成功しているデザイナーに男の恋人がいるとバレて榎並のスキャンダルになってしまうことを恐れてしまう倫が激しく8年前にプロポーズを受けておかなかったことを後悔する。
そんなある日、榎並の子供!?という少年・翔をモデルの卵として倫に預けられ…。


 

司狼亨・画//徳間書店 キャラ文庫 : 2009.4/ISBN : 4199005196

/978-4-19-900519-0

 

★5(-)<優しくて甘い年上の恋人。
忙しくてなかなか会う暇もないけれど、恋人の夢のためなら、と我慢できていた倫。
お互い好きで好きで好き過ぎて、相手のことを思いやっていたつもりが、気遣いすぎて裏目に出てしまう。

仕事でどんどん成功していく恋人とは対照的に、綺麗な顔立ちの倫が年齢を重ねるにつれ、モデルとして使いにくい素材になっていることにも話が絡みつつ、自分をライバル視してくる翔とのことにも神経をすり減らし、頑張るだけ頑張って、でももう駄目なのだと納得して泣きながら無理やり笑顔を作るような、悩みながらも健気に頑張る倫がすごくすごくせつなかった。

榎並は本当に優しいお兄さんのような、年下の倫にたしなめられたり、秘書の白石さんに頭が上がらないようなキャラだったけれど、それがすべてではなくて。
最後にただの男の顔を見せる榎並もなかなかよかったです。

ただもっと翔のことは初期の段階で倫に説明すべき流れだったのでは??という部分がちらっと引っかかった分、好き度は少しだけマイナス。

さて、倫のいい相談役というか、焚きつけ役?(笑)だった十夜。
どうやら翔を狙っているらしいというところで終わっていましたが、二人のお話はリンク作として読める日がくるのでしょうか?
読んでみたいような恐いような?(笑)