火崎 勇/恋の一秒は千年の忍耐


 

高群保】【笠倉出版社 CROSS NOVELS】【2009.8】 isbn:4773099658

 

★5<「一秒でも世界は変わる」のリンク作。
無花果を叱り飛ばしていた(笑)真屋のお話で、まだ無花果に恋人が出来る前のお話。

出会いは小学生のとき。同級生の無花果の家にいた7才年上の男。
祖母とだけ暮らしていた真屋には高校生だった無花果の兄・零は身近にいなかった大人の男に見えた。
その後中学生のときにはとんでもない成り行きがあって、自分が零に特別な感情を抱いていたことを自覚するが、のちに零はふらりと出て行ってしまいそれきりに。

けれど大学生になる頃には、グラフィックデザイナーになろうとしていた無花果や、他に才能のある人間をサポートするようになっていた真屋は、偶然にも零と再会するが…。

いつか自分が零の写真を写真集にしたい、と望みを持つのに裏切られ、成り行きで零に抱かれれば、数多のセックスフレンドの女たちと同じ扱いをされたのかと思って傷つき、また連絡もなしにフラリといなくなっては悲しませ。
真屋は気の毒で零は酷い、とは思うものの、零は零なりに真屋の言葉を誤解して傷ついているだろうこともわかるので、あまりのうまくいかなさにヤキモキさせられるお話。

何事にもきっちりしていて丁寧語の真屋と粗暴で自由な男・零。
この二人の組み合わせを知った時の無花果とのやりとりが最高でした。(笑)