火崎勇/甘くなくても

朝南 かつみ: オークラ出版(プリズム文庫) : 2006.8 ISBN : 4-7755-0792-3

・あらすじ・

外川は勤め先のスポーツメーカー「W.Wスポーツ」で念願の営業へと移動になった。前の部署にいる時、電話でよく口論になった取引先の「城」という男。天敵とも言えるその男に担当として直接会うことになってしまう。重く低い声、野生的な容貌の男は「取引だろう?お前が望んだことじゃないか」と酒に酔った外川の体を強引に拓き、舐り、貫く。仕事の取引を体の取引と誤解された外川は、それでも城が与える快楽に抗えず翻弄されてしまう。


 

・レビュー・

★5<働く男の話ですね。
イラストの雰囲気もよくあっていて、

仕事が出来て色気のある城さんも、

真面目だけど強気なところもある

メガネ美人の外川さんもよかったです。

 

今回のお話は、ちょっと嫌なやつが出てきて、

仕事も出来ないくせに

真面目に働こうとしている外川さんの

美味しいところをかっさらおうとするようなところがあって、

外川さんはそれを絶対見返してやろうと頑張る。


なのに前の部署にいる時に仕事でぶつかってはいても、

筋の通らないことは言ったりしないと思っていた

取引先の城にも酷い誤解をされ、

立っているのも辛いような目に遭ってしまう。

 

受難の外川さんなのだけれど、

そんな苦境の中、

それでも仕事を頑張ろうと

なんとか踏ん張って立ち上がる姿は頼もしいし、

 

でもちょっと絶対負けるもんか、

という向こう意気の強さがかえって、

そうしていないと今にも

くずおれそうにまできてしまっているのだという

外川さんをよく表していていい感じ。


それに、そういう外川さんだからなのか、

城はもともと悪い人じゃないからか、

嫌な目に遭ってばかりのお話にしては

それほど嫌な感じを引きずらない。

 

外川の頑張ったことが

どんどん評価されていくあたりもよかったし、

城の、過去のことに関連した今の仕事に対する姿勢もよかったし、

 

今までの火崎さんの作品だと、

結構好きになった相手のことを

あれこれと思い考える心情を描写する部分が多くて、

私はそういう部分も好きだけれど

 

そういう部分が苦手だったかもしれない方にも、

かなり仕事の面がおもしろく描かれる中で

外川が城を認めていて、

その気持ちが最終的には恋愛感情に通じていくという、

外川が城に対して恋愛感情を意識する話が

最後のほうにやっと出てくることから、

読みやすいかな、と思えた。

 

ちなみにこのお話、

バジルノベルスの「風でなくても」のリンク作。


そういえばこんな人出てきたっけ…とうろ覚えなので、

早速読み返し予定。


「風でなくても」のほうのお話も

かなり好きだったので読み返すのが楽しみ♪


こちらは(攻)視点で

多分優しい野々宮が元後輩と部下として再会するお話。


「甘くなくても」に出てくる野々宮さんより

男っぽい感じなのでちょっと最初ピンときませんでしたが、

実直っぽいいい人です。

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