火崎勇/EASYな微熱

キャラ文庫 1998/8 金ひかる ISBN:4199000631

・あらすじ・

朝比奈陸が欲しい―その思いは、伊佐一音にとって生まれて初めて抱く強烈な欲望だった。
大学に入る今まで、望まなくても大抵の物は手に入ったのに、先輩の陸だけは思い通りにならない。
そのもどかしさの正体もわからず、ただ陸を抱きたがる伊佐に、陸は条件を出す。
陸の趣味の弓で、伊佐が的の中心を射貫けたら望みを叶えると…。
センシティブ・ストーリー。

 


 


 ・レビュー・
 
★4.5<いきなり▼ネタばれ▼になりますが、

伊佐は、身体的な問題はないのに、

見るもの全てに色を感じず、

勉強もスポーツも、やればそこそこ出来るものの、

それに対して熱意も持てず、ただ無味乾燥な日々を送っていた。


なのにひょんなことから出会った朝比奈の瞳だけが、

鮮明に伊佐に色を与えたことで、

伊佐は初めて何かに固執するという感情を覚えた。

 

伊佐が朝比奈を追い、

一つ年上の朝比奈が伊佐を振り回しているかと思えば、

案外内心では、

いつか伊佐に色を与えるのは

自分だけでなくなる日がくるのではないかと

怯えるさまがせつない。


ただ、好き度が満点に微妙にな足りないように思えたのは、

ちょっとどこかで、

やっぱり朝比奈の不安通り、

朝比奈より強く伊佐を求める人間が現れれば、

伊佐にとって、そちらの相手の方が、

朝比奈より上になってしまうのでは?と気になったため。