火崎勇/運命の猫

キャラ文庫 2004.4 片岡ケイコ ISBN:4199003037

・あらすじ・

「俺は猫だから、拾ってくれる?」グラフィックデザイナー・梁瀬の元に、ある夜不思議な訪問者が現れた。
上品な物腰だけど、素性は一切秘密。
なのにこの出会いは運命だと言って懐いてくる。
興味を覚えた梁瀬は、青年にクロと名付け、猫として同居することに!!初めは警戒していた梁瀬。
だけど、身体を預けて甘えてくるクロとベッドを共にするうちに、すっかり本気になってしまい。


 

・レビュー・

★4<グラフィックデザイナーとして

売れ始めた梁瀬の元に、

身元不明の青年が自分を猫だと言って転がり込んできた。


自分のスキャンダルを狙うのが目的かと危ぶんだが

その気配もなく、

色仕掛けでタラシこみ

金でもせびるつもりかと考えてみたが

そういう気配もなく。

 

自分を熱烈に慕うファンのようで、

別に献身的に自分の世話を焼くわけでもない様子からは

それとも少し違う様子で。

 

ただ大人しく、本当に猫のような存在のクロは、

その名すら本人の希望で梁瀬の名付けたものであって

本当の名前もわからない。


謎だらけなのに一緒に過ごすうち、

クロに惹かれてしまう梁瀬は、

大人ぶりながらも内心正体のわからないクロに

好意を露わにして逃げられてしまうことを怖がっていた。

 

クロに惹かれていくのに正体を知らないことで

その気持ちをセーブしようとする梁瀬が

結構悪くないと思って読んでいたのだけれど、

 

後半二人が衝突するあたりから、

もう一つかな・・という印象になってしまった。


すべてを読み終わってしまえば、

(受)キャラのせつない気持ちが見えてくるものの、

謎な部分があまりせつなさを秘めて伝わってこなかった分、

盛り上がりに欠けたのが残念。


あと最後もそんな簡単にいく?という疑問も残ったし。

ただ、あの台詞がよかった。


遊びだったら…好きなだけなら…、でも愛してるから…というアレ。


ああいう切羽詰った気持ちを

開き直ったように言う(攻)が好き~。(笑) 


ここだけ読み返していると

★4.5にしたい気持ちになってくるぐらい好きなシーンでした。