火崎勇/いたいけなケダモノ

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いたいけなケダモノ (Be-boy novels) [ 火崎勇 ]
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ビーボーイノベルズ 2001.6 isbn:4835211995

★4.5<恋愛感情だと思っている感情を他人から、それは違う、と否定されてしまったとき、それならどんな好きなら恋愛感情と呼んでもいいものなのか。
そんな感性が結構私的に同調出来るものがあったので、最初は、人にお金を使って喜びを感じる冬柴、という人物を理解出来ずに読みづらかったのですが、後半、その冬柴の行動を裏付ける理由というものがちゃんと出てきたこともあって、自分の感情を否定され、そうなのかと自問しつつ、それでもやっぱり相手を必要とする気持ちも確かにあるんじゃないかと冬柴の気持ちが揺れ動くところや、大人である分別のある選択をしつつ、どこか、果南に感情的に一緒にいたいのだと切望されることを望み、だけれど、実際は冬柴の選択を冷静に受け入れてしまった果南に失望し、ヤケになってしまうところなど、いい大人である冬柴が、果南に対する恋愛感情に見事に振り回されてしまう部分がとてもせつなく、最後の、冬柴が果南を求める、果南へのとても強い感情を再確認する場面、痛々しいような胸苦しいような、それでいて強く惹かれ求め合う甘ったるさを感じられるような、微妙な色合いの空気が絶妙でした。

ただ、自我を表に出すことをセーブしてしまうようなキャラの果南には、普通の17歳と違った、傷ついた小さな子供みたいな印象があって、それが、なんだかショタみたいな感じがしたので、普段私的にショタは平気、と思っていましたが、あまり意思を持たない相手だとちょっとイケナイお話しのような印象を途中受けた。

本当は、果南の中には、ちゃんと冬柴を好きだという恋愛感情が確かにあって、ただ盲目的に冬柴を好き、というわけではなくて、強い感情を持ってはいるものの、健気な性格のせいで、それが見えにくくなっている、というだけなのだと最後にはわかるのだけれど。

ということで、私の好き度としては★4.5
最初の冬柴のパトロン気質?なところ、果南のちょっと卑屈な感じのするほどの無欲ぶりはあまり好きになれなくて、その分のポイントを差し引くと★4ぐらいだけれど、後半の二人の想い合う気持ちの強さと、その確かな気持ちに気付くまでの紆余曲折の繊細な描写への好感度分のポイントを加算するとこんな感じ。

ただ、こんなに繊細な感じのする文章に、このタイトルはちょっと違うかな、という印象を持った。
たしかにケダモノ、という言葉は冬柴に的確に当てはまっているかもしれないけれど、その言葉から受ける印象はあまりに軽い気がして・・・。