火崎勇/マイフェア・ブライド


 

キャラ文庫 2001.8 雁川せゆ isbn:4199001964

 

★4<ブライダルコーディネーターの話しということで、いろいろなブライダルプランが提案される中進められていき、結婚していない人には、きっと夢ふくらみ?(笑)、結婚している人には奈々蔵のコーディネートで結婚式をやりなおしたいと思うかもしれない(笑)お話し。

自分のことを「私」と呼ぶ丁寧語口調の黒川、特に出世を目指すわけでもなく、ただ自分がバイであることを隠すのにちょうどいい、接客業であり忙しいホテルマンという職業を選ぶ、ちょっと打算的な男が恋をして変わる。

それまではそれなりに仕事をしつつプライベートでは安穏とした生活を基本としていたが、奈々蔵に会って、仕事を共にするようになり、毎日にハリが出てくるようになる。
だが途中奈々蔵が辛い恋を引きずっているということから、いろいろな事実がわかるようになり、黒川の誤解、奈々蔵の複雑な胸中などが浮き彫りになっていく。

「私」という仮面をとり、「俺」というプライベートな自分で奈々蔵と向き合い、奈々蔵の欲しいものを与えてやるから欲しがればいい、わからなくても選べ、そんな強引な黒川のやりとりのあとの、▼ネタばれになりますが▼身体を繋げても奈々蔵は自分を選んだフリをして流されただけらしいことを感じ、黒川が後悔する―――。
それでも、大人だから平気な顔で会社に行くことができる、というあたり、とてもせつなかった。

だけど私の好き度は★4 
・・・というのも、まず奈々蔵の、普段は子供っぽいのに大人の計算も出来る、というところが好きになれなかった。
ただ大人っぽくしっかりした部分があるならよかったけど、黒川のバックにある大手ホテルの名を計算の上で自分の会社を売りこむような計算高さは、確かに意外な一面として気にかかるきっかけにはなるものの、恋に落ちるのが理解できない。
もっと奈々蔵が小悪魔っぽかったらすんなり入れたかもしれないけど、普段とのギャップが嫌な感じだった。
あと、黒川が「私」から「俺」に使い分けるあたり、どうも別人っぽくて馴染めなかった。
あと、奈々蔵の辛い恋のオチがアレでは、ちょっと・・・。
ブライダルの本としてはおもしろく読めたのだけれど。(笑)