火崎勇/まだ愛に届かない

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まだ愛に届かない (角川ルビー文庫) [ 火崎勇 ]
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麻生海/ルビー文庫 2005.5 ISBN:9784044490072

 

★5<後輩(攻)から言い寄られて身体は繋げあっている二人。
先輩(受)も本当は後輩(攻)を大好きなのに、御曹司である後輩(攻)の将来を思うと、自分の本心を告げても未来はないとわかってしまっていることから、絶対自分の気持ちを見破られないように、いつもそっけない態度を取っていた。
そんな主人公の先輩(受)が、表面的に冷たい態度を取ったそばから本当は好きなのに…と内心を吐露するストーリー展開。

辛い恋だとせつせつと訴えかけてくる展開が、くどいと感じる人にはくどいかな、という印象はあったものの、元より両思いなのにすれ違っているお話の好きな私にとってはストライクゾーンど真ん中。(笑)
すっかりそのせつない恋にリンクしてしまい、ラスト前の場面で、もう素直になるのが遅かったのか!?と先輩が泣き出してしまうシーンでは、こちらまでギュッと胸が痛かった。

また途中、大好きな後輩を傷つけ、今度こそ後輩が自分を慕ってくることはないだろうと思い知らされた直後に、車の中、一人泣き出すシーンがあるのだけれど、それまでも相当辛かった主人公がとうとう本当にもうダメなのだと泣きはらす様子が、27歳のサラリーマンには見えないほど無防備な感じでよかったし、最後、気持ちを偽らなくてもいいのだと自分に許しを出してしまってからの主人公が、必死で自分の気持ちを後輩に伝えようとするところも、もうどこにもヘンに意地を張ったりしていなくて、すごく好感が持てた。

(攻)キャラのほうも、年下のあせりみたいなものが時折見え隠れしつつも、もともとは育ちのいい御曹司ということで終始スマートで優しい表情を見せていたのに、最後の最後、本当にこの人を手に入れたのだと互いの熱を奪い合う場面で、ちらっと素の自分を見せるシーンに、こらえてこらえて、やっと欲しいものを手に入れることが出来たという気持ちがすごく現れていてよかった。

あと、(攻)キャラを狙っている大学時代からの同級生が、キャンキャンと主人公を威嚇して傷つけてはいたけれど、そちらは結構主人公が強気だったことからそれほど気にならなかったものの、途中で出てきた主人公を慕う後輩の存在のほうがちょっとハラハラして、▼ネタばれ▼になりますが、結局別に主人公を狙っていたわけではなく純粋に慕っていただけの存在で収まってくれたのが、波乱好きな方?には物足りなく感じるかもしれないけれど、横ヤリを入れてくるキャラにまるで無警戒な主キャラの話が苦手な私には安堵して読めたのもよかった。