火崎勇/恋に酔っても

居酒屋で働く克司は酔いつぶれたサラリーマンを介抱したところ吐かれてしまう。しかたなく彼をホテルに連れていくが。

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

恋に酔っても (リンクスロマンス) [ 火崎勇 ]
価格:940円(税込、送料無料) (2023/9/12時点)


 

isbn:4344806344 小路龍流    リンクスロマンス    2005.9

 

★4<居酒屋店員の加村は、泥酔した客の介抱をしたことから、その客・橘と親しくなる。
最初から橘のことはスーツを着ていても随分と可愛らしい顔立ちだと思っていたが、まさか自分が男に走るとは思いもしない加村は、悪友のような五十嵐にあれこれそそのかされても自分の橘への気持ちが恋愛感情にはならないと思い込んでいた。
最初は好奇心から、けれど結局はそれも恋愛感情の始まりだったと認めざるを得ない状況に陥ってしまう。

加村がなかなか橘への気持ちを認めようとしないおかげでちょっと橘には気の毒な展開になっているのだけれど、橘が案外火崎さんの描くキャラらしく内気そうに見えて負けん気の強い頼もしいタイプだったというオチ?がおもしろい。
それに、何やらワケありで居酒屋店員などをしている加村を、どうにか現場復帰させようと押す五十嵐が今回かなり頑張って加村を焚きつけていた中、馬鹿なことをやってしまった加村を叱る場面は男前でよかった。
その点、加村はどうかと言うと、最初は仕事の部分で無用なトラブルを避けるために身を引いたというあたりなどから思慮深い大人の男かと思いきや、どうも最後まで通してみれば、いい年をしながらもボンボンっけの抜けないお坊ちゃんなのか、といった感じ。(笑)
微妙なところなのだけれど、なかなか自分の気持ちも簡単に認められないようなところや、橘から距離を置こうとするところとか、いろいろ大人の男といったイメージがあった中で、結局は橘がらみだからこそ加村もそんなことをしてしまうのだという説明はあったとは言え、加村が「家」を持ち出すあたり、あまりそこまでの加村らしい感じがしなくて引っかかってしまった。
もうちょっと大人の男らしい?オチか、もしかしたらもうちょっと最初からヘタレな感じに描いてもらっていたらほうが最後の展開もちゃっかり、という感じで(笑)すんなり受け止められたかも。
あと橘も最後はシンデレラストーリーみたいになってしまっていたのがどうもしっくりこなくて、ここは上司を撃退したときのしっかり者!?、なところを発揮してもらって、ちょっとカカア天下風なやりとりのほうが楽しかったかなぁと思えてしまった。
好き度は★4.5とすごく迷っての★4
やっぱり著者さんもあとがきで言っていらっしゃいましたが、五十嵐君と加村兄の話が読みたい!