火崎勇/優しい獣

リーフノベルズ 2002.2 みささぎ楓李

・あらすじ・

野性味溢れる精悍な顔立ちに、長身で、そのうえ社長でもある、
きわめて魅力的な男―――有田貴秋。
友人の弟である自分を口説き続ける彼の真意が測れない槙野
三波は、どう答えていいのかわからない。
ところが、有田の会社に就職を決めて、そばで彼に接している
うち、三波の心は揺れ始め・・・。
「わからないなら教えてやる。言葉じゃなくて態度で。俺がお
前をどう思っているかをな」
そう言っていきなりキスをされた三波は・・・?
前作で微妙な関係だった2人の恋の行方が、いよいよ明らかに!

 


 

・レビュー・

★4.5<嫌いではないけれど、

それが恋愛感情かというとわからない。


どういう好きなら

恋愛感情としての好きになるのか。


好きという感情のあやふやさに戸惑う三波。


一方有田は、

プライベートでは三波を男という戸惑いもなく口説くくせに、

仕事のときにはまったくそぶりも見せず、

ベンチャー企業の社長としての手腕を見せ付け、

魅力的に描かれている。

 

その後紆余曲折を経て三波は答えを出すが、

▼ネタばれになりますが▼

 

その感情を有田に誤解して信じてもらえず、

わかって欲しいのに信じてもらえない三波がとてもせつなかった。


でも三波が本当に恋愛感情の「好き」

という答えを出したらしいシーンは、

 

読んでいて私も有田と同様、

まだ恋愛感情の好きではないように感じ、

 

その後それが本気であったことがわかり

違和感を覚えたし、

 

でも有田が仕事での融通のため、

と誤解したようにも感じず、

 

私には有田が親友の弟、という不安定な絆以上のものが

身体を繋げることで得られるなら、それでいい、

というような、恋愛感情というより、

まだ幼い独占欲みたいなものに感じた。

 

あと、最後に有田が、

やっと欲しい三波の心までを手に入れ、

歯止めがきかずに「獣」になってしまう、

というあたりは、

 

その前の初めて戸惑いながら

有田が三波を抱くくだりで、

存分に歯止めが利かない、という部分を描いてしまっているせいか、

なんとなくそこまでこだわって

「獣ぶり」を強調させる必要があったのかな?という違和感が残ったけれど

 

有田の、三波を焦がれるほど待ちながら、

それでも本当に三波の気持ちが自分に向かってしまえば、

その気持ちを信じていいのか戸惑うシーンや、

 

三波の、有田に信じて欲しい、どうして信じてくれないのだろう、

という感情が激しい行動になってあらわれるシーンなど、

いい場面も多かった。

 

【リンク作↓】

blreview.hatenablog.jp