エクリプスロマンス 2002.4 桜城やや
・あらすじ・
偶然、大学祭で聞いた一言・・・「静かに」。ざわめく会場を一瞬で従わせたカリスマ的な声。以来、翠は恋するように同じ声を求め続けていた。ネット不動産会社に就職した翠は、かの声とは似ても似つかぬ高い声を発する社長・嶋垣がなぜか気になる。百戦錬磨の営業テクを誇り、オールバックと黒ブチ眼鏡にその男らしい容貌を隠す嶋垣。ある接待の席上、翠は嶋垣が耳元に囁くことだけで渋る契約相手を豹変されるシーンを見てしまい・・・!?魅惑の「声」が支配する働く男たちのアダルト・ラブ登場!!
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・レビュー・
★4.5(-)<声に一目ぼれのように惹かれ、
ずっと気にかかっていた相手とようやくの再会を果たす植月。
声以外の面でも好意を持つ相手に、
恋をしているのだと自覚し、
相手も憎からず思ってくれているようなのに、
その前途はひどく多難だった。
恋人のように身体を重ねる行為までしているのに、
相手は一向に植月の恋心を信じようとしない。
なんとか信じて欲しくて、
まず、相手をしてもらえるような、
相手と釣り合うような、実力をつけなければ、と
健気にいい仕事をしようと頑張ろうとするけれど、
そう簡単にうまくはいかず、
自分の力の無さに落ち込んでしまう。
またあまりにも相手に気持ちが伝わらないことが
もどかしくて辛い。
でも、だからこそ、
そんな頑なな相手を氷解させたときの嬉しさは、
読み手のこちらまでホッと安堵するほど嬉しく、
まさに、植月くんの頑張り、
「恋」のなせるワザという感じ。
さすがに上手だな、
と思える書かれ方もあるのだけれど、
二部構成になっていて、一部が雑誌掲載分のせいか、
いったん話が軽くまとまってしまっているのに、
問題の解決が二部の方まで残っているせいで、
一部の方がまとめ急いだ感じがして読みづらさを感じた。
ちなみに普通のリーマンものとは少し違うお話。
▼ネタばれ▼になりますが、
特殊能力もの。
完全▼ネタばれ▼してしまうと、
人を従わせてしまう声音を使うことが出来る(攻)が、
その能力があるせいで、
相手の言葉が信じられなくなってしまっている。
植月は本心から言っているのに、
それは(攻)が、自分の声の力のせいであって、
だから抵抗もなく自分に抱かれているのだと信じて疑わない。
もどかしいんだけれど、
本当は信じたいぐらいすごく好きなんだろうと思うから、
やっと本当の気持ちが伝わったシーンはすごくよかった。
ただ今回のイラストは申し訳ないけれど個人的に今一つ…。
桜城さんは嫌いじゃないし、
かっこいいと思えるカットもあるのだけれど、
わざとかっこよさを隠しているという設定の(攻)が、
本当にかっこよくない。(笑)
それはそれで本文通りなのかもしれないけれど、
どうもオールバックがヘンな感じがした。