松岡 なつき/ラク-ンなぼく

忙しい両親の代わりに衛生に厳しい祖母の下で育てられた藍川薫は「不潔恐怖性」。
他人に触れられるのがダメ。外食も嫌い。一日に手を何度も洗わずにはいられない。
両親の仕事の都合で仙台から東京の同じ大学付属の高校に編入してきた薫は、初の登校日に電車の中で痴漢に襲われた。
パニックに陥った薫の窮地を救ってくれたのは同級生の佐山達彦。それをきっかけに、二人は次第に友情を深めていくが・・・。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ラクーンなぼく (パレット文庫) [ 松岡なつき ]
価格:471円(税込、送料無料) (2023/9/4時点)


 

 

ISBN:4094208518
パレット文庫  小学館 1997/08出版  森永あい

 

★4.5<
他人との接触や、他人が作った料理も食べられない薫は、それまで親友の宏輔が事情を知り、そういうことから遠ざけてくれたおかげで、なんとかそれまでを過ごしていた。
けれどそれまで住んでいた仙台という地から離れ、東京へと引っ越した薫は不安でいっぱいの転校初日。
いきなり痴漢という最悪の事態に陥った。

その日助けてくれた同級生・達彦と仲良くなり、事情を話し、わかってもらえたことで薫は安堵するが、達彦は、それまでつきあっていた宏輔とは違い、薫を苦手なことから守るだけではなく、少しずつその症状を改善していこうと前向きな提案をする。
外食できないことから修学旅行にも行ったことがないほどの薫は、確かに少しでも改善すれば楽しいことが増えることに、改めて気付かされ、達彦の熱心な言葉に頑張ろうとする。

もちろん、それは簡単なことではなく、達彦も、頭ではわかっていても、まだまだ感情に突っ走りやすい高校生らしく、やったあとで後悔するシーンもたくさんあるのだけれど、それ以上に薫を大事に思いやったりする純朴な気持ちが温かくて、▼ネタばれになりますが▼やっと鳥肌も出ずに握手することが出来る、という関係ながら、読後あまり物足りなくは思わなかった。