松岡なつき/星の森をくぐって

学園生活にも慣れてきた薫は、智から、夏休みに達彦や一樹たちと高原の別荘に誘われる。
しかし、薫は泊まりがけの旅行にはまだ抵抗を感じる。
それならばと、達彦は日帰りの近郊でのキャンプの計画を立てる。
日帰りとはいえ薫の両親はこの計画に難色を示し、夏休みの間中、薫が予備校の特別プログラムに参加することを条件に旅行を許可するが…。
両親との確執に悩みながらも、薫は達彦との気持ちの交流を深めていく―。 

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小学館パレット文庫  ISBN:4094208526


 
★4.5<薫の話しを聞こうともしない母に、仙台行きをつぶされ、予備校へ通うことを余儀なくされる薫。
それでも、達彦たちと出歩くことまで制限されたくないと、母の思惑通り予備校へ通う夏休み。

薫を交えての初めての夏休みを楽しもうと、達彦たちがいろいろな計画を練ってくれるが、ひょんなことから仙台から親友の宏輔も合流してみんなでキャンプをすることになる。
自分が薫にとって一番なのだと複雑な思いを抱く宏輔と達彦、そしてその間に挟まれた薫。
3人それぞれに複雑な胸中を抱えながらのキャンプはどうなるのか。

薫も達彦も、少しずつ、自分たちのペースで距離を縮めていっているのが、すごくいい感じ。
急ぎ過ぎず、だけどじれった過ぎず、まあ、たぶんに友達の智がクールにお節介を焼いてくれたおかげ、という気もするけれど、何より、宏輔と泥沼にならずにホッとした。
そして▼ネタばれになりますが▼二人の関係はやっとこさキス。
でもこの二人にとってはキスまで出来たことすら、すごい進展なので、今回も読後、物足りない、という感じはあまりなかった。
それより、薫を怯えさせないように、ゆっくり進んでいこうと頭では思いつつ、愛しさのあまり、理性をぶっちぎってしまう達彦の複雑な胸中が、やっぱりやさしくて温かくて、そんなにスマートでない迫り方にも何だか好感が持てた。