木原 音瀬/男の花道―Don’t Worry Mamaシリーズ

ゲイバーのマスター友晴は男らしい見かけと違いバリバリなオカマ口調の男。ひょんなことから万引き犯に間違われたオタク男・松尾の潔白を証明してやった。漢らしく啖呵をきって助けてくれた友晴に松尾は感動して、自分も男らしく変えてくれと懇願してくる。あまりの熱心さに友晴は絆されてオネエな口調を隠し、松尾に付き合うが…。BL界の話題をさらった、あのシリーズが帰ってきた。ついに最新刊登場。

 


 

【志水 ゆき】【ビーボーイノベルズ】【2012年1月刊】isbn:4799710621

 

★5<ひょんなことから知り合った巨乳好きオタク男の松尾に、「兄貴」になってほしいと言われてしまうゲイバーのマスター・友晴。
吃音が酷く人としゃべるのが苦手な藤原の言う「兄貴」とはゲイ的な意味ではない。

普段オネエ言葉な友晴がたまたま男らしいスーツで男言葉で啖呵をきって危ないところを助けられた藤原には友晴が理想の男に見え、自分も少しでもそんな男に近づきたいと思ってのこと。
あまりの必死さに友晴も断りきれず友達づきあいをすることにしたが…。

藤原は友晴の好みの男とはタイプが違うので、藤原の好みがゲイではなく巨乳好きであっても別にどうでもいい。

ただあまりに自分に自信のない藤原が不憫で、オカン体質の友晴がちょっと世話を焼く、それだけだったはず。

なのに、いつしか友晴の気持ちが藤原に傾いてしまう。
ノンケ男に恋愛感情を抱くむなしさはよくわかっていても自分で自分の気持ちなど制御できるはずもなく、ただせつなく自分の気持ちを抱えるだけ。

まだオネエ言葉でゲイであることすらも藤原には話せていなかったし、辛くなって逃げ出してしまうわけだけれど、せつないのに全然信憑性のない話で藤原をだまそうとしてギャグになっちゃってるあたり、それに3話収録で2話目も世をはかなむくらい後悔して逃げ出して、でも帰ってきたら雪男だったり。(笑)
本人は真剣に悩んでいるのにギャグになっているあたりがおもしろいというか微笑ましいというか。
時々一人でぐるぐるして悲観するあたりが乙女っぽくもあり、やっぱりあくまでオネエ。滑稽さがいいバランスだった。

ちょいちょい裕一や甲斐谷なんかが出てきたりするのもシリーズ作ならではの醍醐味だった。