水壬 楓子/ダミー

人材派遣会社『エスコート』の調査部に所属する環は、オーナーの榎本から、警備対象の影武者になる仕事を引き受けさせられる。その間、環のボディガードにあたるのは、警視庁のSP・国沢だった。彼とは大学時代の同級生で、かつて環は彼に想いを寄せていた。しかし辛い恋の経験から、それを告げずに彼の前から逃げるように姿を消した環。約十年ぶりに再会し、共に行動する中で環は捨てたはずの国沢への想いを再び募らせていき―。

 

【佐々木 久美子】【リンクスロマンス】【2012年2月刊】isbn:434482444X

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ダミー (リンクスロマンス) [ 水壬楓子 ]
価格:940円(税込、送料無料) (2023/8/22時点)


 


★4.5<一人暮らしで奨学生で、父親の入院費まで必要だった環。
学内ではシビアにノートのコピーに高額な値をつけ周囲から浮いていたが、ひょんなことから何かと人助けをして学内でも有名人だった国沢祥吾と友人づきあいをすることに。
報われなかった初恋を経て、次にどうやら好きになってしまったのはノンケな祥吾。
思い切るために卒業前の最後の夜、酔った祥吾を誘って一夜の思い出を作るが11年後、ボディガードを派遣している「エスコート」の調査部員となった環は、自分がガード対象の身代わりとなり、SPとなった祥吾に四六時中守られることになって!?

最後の夜のことには触れずにいて欲しい環とは裏腹に、引っ掻き回すように折に触れて「乗り逃げされた」と絡んでくる祥吾。
そうっとしておいて欲しくて何度もはぐらかすけれど、うまくはいかず、もう過去のことと割り切った態度でいなしてしまいたいのにそれも出来ず、ただずっと10年前の気持ちにとらわれている環の臆病で素直じゃない不器用さがいい。

個人的には、うまく素直になれない(受)を追い詰める(攻)はちょっと苦手ながら、最後の最後はちゃんと下手に出られる祥吾には、どんなにめんどくさくても環がいいのだという気持ちがよく伝わってきてちょっとポイント上がりました。

ただ最後。
(攻)と(攻)の弟とのじゃれ合い、必要だったかな…?と、読後感的には残念な感じ。
写真のエピソードはよかったのですけれど、せっかくポイントの上がった祥吾が台無しだったというか…(苦笑)
微笑ましい終わり方ではあったのですけれどね。

おまけミニミニストーリーは、榎本とユカリたちと律たちと。
あいかわらずみんなもラブラブで元気ですよ、という感じでしょうか。
ほんの一コマですが会えてよかったです。