【いさき李果】【幻冬舎リンクスロマンス】【2010年12月刊】
・あらすじ・
商社の社長の息子として、いずれは後を継ぐだろうとは思っていても、まだ先のことと思っていた社長の椅子に、父親の急逝により座ることになってしまう鮎川。
社内は派閥争いで気の抜けない中、頼れるはずの秘書は若いボンクラ。
心身共に疲弊していく中で、秘書喫茶から秘書を派遣してもらうことになり…!?
|
・レビュー・
★5<タイトルから受ける
メイド喫茶風でイケメン秘書が奉仕してくれる、
というようなお話ではなく、
実際に秘書をしたことのあるような人間が待機されている人材派遣的な感じ。
派遣された大倉は耳に痛いことも
ビシッと言う秘書で
すっかりイニシアチブを取られた感じに話を進められるが、
それでも間違ったことを言うわけではない非常に優秀な男。
そして鮎川は自分の苦しい立場に腐らず、
その中でも前向きに頑張ろうとする社長にふさわしいものを持っている。
健気に一人で頑張る姿が不憫なぐらい環境悪の中、
決して甘くない大倉にあめとムチを上手に使い分けられ、
でもそんな中で自分で奮起し頑張っていく姿がいとしい。
また大倉は本当に嫌になるぐらい有能なわけだけれど、
素の大倉が見え隠れして、
そこに惹かれていく鮎川の気持ちもよくわかる。
ただ、鮎川は若いのにあれほど
きっちり線引きをして有能な大倉に甘え過ぎないように
自制し仕事をこなしているというのに、
あめとムチのムチの方が多い感じだったのが
ちょっと気の毒。(苦笑)
でも最後の大倉視点のお話を読むと、
思っていたより鮎川、愛されていたようで、
意外な誤算でした。
今後も大倉が困惑するほど
鮎川が振り回すと楽しそうだなぁと思っちゃいました。(笑)
★リンク作↓