火崎 勇/魅惑的な契約者


 

【Ciel】【もえぎ文庫】【2010年3月刊】isbn:4059041211

 

★4.5<まさかと思っていた友人・藤本にストーカー行為をされ、好きだったのだと告げられた瓜生。
仮に友人としては元通りに接することができたとしても恋人にはなれないと突き放すが、納得しない藤本に、同じ喫茶店に居合わせた見知らぬ男が恋人のフリをしてくれて…。

瓜生の気持ちを尊重しているように見せて、自分の思いを正当化している藤本のやり方は本当に不愉快で最悪な男。
▼ネタばれ▼になりますが、
恋人のフリをしてくれた岩神は瓜生が転職した先の社長で、社長としても偽の恋人がいたほうが都合がよかったことから互いにしばらく偽の関係を続けるわけだけれど、社長はワンマンながらもやり手だし頼れる人であるし、何より瓜生をからかったりしつつも最終的には無理強いするようなことはしない人。

芝居でも社長の周囲の人間に恋人のフリを見せつけるのには抵抗を感じるような瓜生が、それでも岩神と藤本とはまったく自分への思いが違うことにちゃんと気がつくし、藤本をいつまでも信じたがる甘ちゃんなところはあるものの、最後まで甘いわけではない。
ストーカーが誰かをきちんとつきとめるだけの頭もあるし、藤本に対する情を切り捨ててしまえば多少の酷いことはできるだけの割り切りもあって、藤本が本当に酷い男だっただけにただベソベソしているだけのキャラより好感が持てた。

ただこれから瓜生は大変かな。(笑)
岩神は隙あらば、と瓜生にスキンシップしてくるだろうし、瓜生の周囲の人間にもうるさく目を光らせそうで!?
でも恋人としてはそれだけ愛されている証なのだろうから瓜生もあきらめるしかないですね。
幸せになって欲しいです。
ただやっぱり藤本が嫌すぎたので好き度は★4.5に。