火崎勇/ストイックになれない


 

茜新社オヴィスノベルズ】【2003年11月刊】【小路龍流】【ISBN:4871826228】

★4.5<密かに好きだった相手・国立から思いがけず告白され、万々歳のはずの高来。
なのに、人気のある国立の女癖の悪さを知っているからこそ、身体を許してしまってから捨てられてしまうことを恐れ、国立を拒み続けてしまう。

大好きな相手に本当の自分の気持ちを見せられず、苦悩しながらも捨てられてしまう不安も拭えない高来が、恋にぐるぐるしてしまうお話は、かなり私の好みのお話。
高来が無自覚なままに、恋のかけひきには慣れているようなはずの国立を振り回しているところもよかった。

ただ後半の、国立が昔の彼女と会うことから高来が不安になるお話はちょっと微妙。
いい子ちゃんの高来が恋を知ってだんだん強欲になっていく自分を持て余す中、最後にはそんな自分をも国立にさらけ出すことが出来、より一層二人の仲は深まるというもの。
素直で真っ直ぐないい子ちゃん風の(受)キャラをよく書かれる同著者さんにしては、意外な感じの利己的さで、それがちょっと昔の彼女とのことに絡んでいるあたりが、すっきりとよかった、という後味にはならなかった。
でも一応全体的には、好き度を★4と迷って★4.5でもいいかな、と思えるぐらいには、やっぱり好みの話だった。