姫野百合/ハートにウェディングベル

 突然身寄りをなくしてひとりぼっちの円を救ってくれたのは、大好きだった祖母の昔の想い人の孫だという青年社長の涼。「一切を援助する」という優しさに縋りついたが、全ては計算上手な大人の嘘で!? 涼は祖母が彼の祖父と交わした約束を盾に、身勝手な理由でイキナリ円に婚約者のフリをしろと言うのだ!! 突然16歳の若妻(!?)となってしまった円。でも俺様な涼との生活は波瀾ぶくみで!? ハッピー・ウェディングラブ☆


 

ハイランド    ラキアノベルズ    2002.5    桃李さえ   

 

★4<愛とか、恋とか、そんなもの信じられないと言い放つ青年社長の涼。それでも立場上、引っ切り無しの見合い話にうんざりして、会ったこともなかった円を女の子だと勘違いして婚約者として迎えるが、現れたのはれっきとした男の子。
困惑しつつも、とりあえず円を婚約者としておくこと方が都合がいいと判断した涼は、円の意見などまるで無視して自分の手元に置いてしまう。
突然の事態にオロオロしつつも、生来の性格の良さを持つ円は、甲斐甲斐しく、涼との奇妙な共同生活をうまくやっていこうと、料理などを作ったりするけれど、まったくもって涼は取り付く島もない。
けれども頑なな涼の心も、純粋な円の気持ちにだんだん氷解していくのだった。

確かに、傍若無人な涼が、本当は不器用な人間であることはせつなく、また円も、涼から酷く冷たくあしらわれるのに、それでも何故か涼のそばにいてあげたいという思いから健気に頑張りを見せるところもせつない。
ただ、好きな話だったかと言われると、ちょっと私的には好きになれないお話だった。
傍若無人な涼が、痛い、とも言えるんだけれど、そういうには話の作りに深さが足りない感じで、どちらかと言うと、ちょっと気分が悪くなる性格というか。
ちゃんと円のおかげで涼は変わるのだけれど、それにしても変わるまでの涼はどうしても好きになれなかった。
また、女性キャラが出ているのは全部嫌とまでは言わないけれど、(攻)キャラが好きなのにモノに出来なくて、わめき散らすような女性キャラは苦手。

それに、社長が婚約者にする、と言うような人間が実は男だった、なんて言うことがありえる??というのも、どうしても引っかかってしまった。(笑)
とりあえず、せつなさという点も、不器用さという点も、健気さという点も満たしていたと思うので好き度は一応★4ながら、本当のところはもうちょっとポイントは低め。