坂井 朱生/淡い吐息のそのさきに

大学生の梶谷里玖がアルバイト先で出会った成田悟志は、憧れのブランドを着こなす理想通りの男。眼光鋭く厳しい悟志を里玖は最初は苦手に思っていたが、やがて悟志に懐く。ある日、悟志の家を訪れた里玖は、風呂あがりの悟志の身体に見惚れ触りまくる。里玖の手で悟志が反応しているのがわかり、好奇心と勢いで彼と寝てしまうが…。 

 


 

【亀井 高秀】【幻冬舎ルチル文庫】【2010年4月刊】

 

★4.5(+)<小柄で可愛い顔をしているのに、でもだからこそ男っぽいハードなファッションに憧れる里玖。
そして大好きなブランドを見事に着こなす悟志と出会うが、バイトの先輩としては言葉がキツかったり説明が足りなかったりする悟志に、頑張ろうとして、でも失敗してしまう不慣れな里玖はそのたびに悲しい気持ちに…。
けれどあるきっかけからよく話してみれば、ちょっと人間不信気味な悟志に悪気がなかったことを知り、あっというまに懐いていく里玖だったけれど、悟志のほうは里玖を気に入っていても、所詮また見た目のイメージと違って無愛想な自分からはきっとそのうち離れていってしまうのだろうと勝手に諦めてしまっていたあたり、ちょっとヘタレ?(苦笑)
里玖にその気持ちがバレるあたりは里玖が可哀想でしたが、まあそのあとは本当に里玖を手に入れられたことが嬉しそうで甘々だったのでよかったです。

里玖は甘ったれな所はあるけれど、気付いたら勝手に自分の懐でくつろいじゃっている小動物みたいな物怖じしない感じがおもしろく、最初はもうちょっとビクビクした感じに思えていたけれど、案外言いにくいことも言っちゃうし、ベッドでも素直に快楽を口にして悟志が無自覚のうちにあおられっぱなしなのが笑えます。(笑)

全体的に初読みのときは、めちゃくちゃ甘い気持ちにさせられました~と好き度に満点をつけた感想を書きかけていたのですが、読み返したら悟志のヘタレ部分が微妙に引っかかったのでちょっとだけ下げて★4.5に。
でも言葉足らずな悟志も、なんとか思っていることを口にしようとして甘ったるいことになっているし、里玖も、もう悟志が間違わないように、一生懸命に悟志のことが好きなのだと伝えようとするところは本当に可愛くて、読後感はすごく甘々でした。