海老原 由里 プランタン出版 プラチナ文庫: 2004年 09月 ISBN:4829622547
・あらすじ・
何か刺激が欲しいー全てに恵まれ、退屈していた竹垣は、謎めいた雰囲気のイラストレーター・今隅に求められ、モデルとなった。しかし、ふいに触れては離れていく彼の意味深な態度に、プライドの高い竹垣は戸惑い、翻弄される。そして、今隅に触れられる快感に気づいた時、欲望という名の恋心が溢れ出し…。「俺を、感じたでしょう?」獰猛な笑みと甘い囁きに搦め捕われ、深い悦楽に溺れる。美しく高潔な男が陥った、スリリングなラブアフェア。
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・レビュー・
★4<すべてが退屈だった竹垣の前に現れた男・今隅。
マンションの隣家に住む謎めいていた男に
興味を引かれた竹垣は、
彼の正体を知り、彼と関わることで
自分の退屈な生活が一変するのではと考える。
成り行きでその今隅の絵のモデルをすることを引き受けるが、
竹垣はその今隅の視線や意味深なやりとりに、
いつしかおかしな気持ちになってしまう…。
笑顔で罠をしかけるちょっと悪い男の元に、
プライドが高くて決して自ら折れることのない男が
その男の罠にかかっていく、ちょっとドキドキするお話。
男の言うとおりになんてなりたくないと思う反面、
強引でなければきっと自らは落ちることが出来ないことを知っていて、
男がそれを解放し甘やかせてくれる、
というようなやりとりがおもしろくもあり、
ちょっと私にはわかりづらい感覚でもあった。
後半は竹垣の会社の男が登場し、
有名なイラストレータである今隅に近づこうとする。
けれど実は竹垣を狙っていて、竹垣を追い詰めようとするが、
今隅も竹垣狙いであることは先刻承知の上。
竹垣の気持ちも一歩前進させ、
またその男の件も始末してしまう。
とことん容赦なく男を追い込み、
竹垣も追い詰める今隅。
酷い男である部分もあるのだけれど、
プライドの高い竹垣を愛するには
ちょうどいい男として描かれていたのだと思う。
ただどうしても終始自分にはその感情に同調できない、
わかりづらい部分が多く、好き度は★4に。