火崎勇/ボディ・ダブル

大学生の柊はマッサージ師の見習い中。ひょんなことから同じマンションの最上階、超豪華ペントハウスに住む憧れのハンサム、内藤と知り合いになり、出張マッサージをすることに・・・。鍛え抜かれた身体にワイルドな顔立ち・・・どうみても普通のリーマンじゃないし、自称マフィアのアメリカ人まで部屋にいて・・・。もしや彼はヒットマン!? 謎の男への興味はいつしか狂おしい恋心へと育ち・・・。デンジャラス・ラブ書き下ろし☆


 

アズノベルズ 2003.9 暮越咲耶

★4<ごくごく庶民の家に育ち、仕送りとマッサージ医院のバイトで一人暮らしをしている大学生の柊は、同じマンションの最上階に住む、お金持ちらしい内藤とは本来接点もなかったが、ひょんなことから話す機会を持ち、定期的にマッサージに通うことになる。
知り合ううち、柊はもっと内藤のことを知りたいと思うようになるが、内藤の方は何の仕事をしているのかいつまでたっても打ち明けてもらえず寂しく思ってしまう。

お金持ちである内藤に媚びへつらうことなく、だからといって卑屈になるのでもない、素直で堅実な考えを持っている柊と、読み進めれば読み進めるほどあやしい職業についているのではないかと思えてくる内藤。
謎が深まる中、柊の「よい子」さが上手く現されていて好感が持てたのだけれど、オチまで読んでしまえば、柊が過剰に怒るのも頷けるような、何でこんな大げさな話に、という感じがしてしまった。

暮越さんの可愛らしいイラストも、「よい子」の柊にはぴったりなのだけれど、内藤のもしかしたら、の職業を考えると、もうちょっと渋い感じのイラストの方が話しに重みが出たのでは、と思えたし、結局、話もその可愛い路線と緊迫した路線があまりうまく合わさっていなかったから違和感があったような気がする。
モチーフとしては素直な柊というキャラも、内藤の職業の話にしても悪くないものだっただけに、★4ではなく★4.5にしようかと迷ったのだけれど、微妙に低めに。