「試着のお手伝いをしますよ」黒いスーツで隙なく固めた男の前で、服を脱ぐ緊張感。男の吟味するような視線に、心拍数が上がった――。平社員として父親の会社に入社する暦林太郎は 『清潔でスマートな新社会人』に相応しいスーツを求めて老舗百貨店を訪れた。コーディネートしてくれた専門家(コンシェルジュ)の立川は、ストイックな色気を漂わせる完璧な男。「綺麗な身体ですね」靴下まで脱がされ囁かれると、意識せずにはいられない。礼儀正しいばかりじゃない素顔の立川を見たい…林太郎の想いは募っていき――。
【奥貫亘】【海王社ガッシュ文庫】【2009年7月刊】【ISBN:978-4-87724-988-5】
isbn:4877249885
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★4<恵まれているけれど、それに驕っているわけではない。
甘やかされてはいるけれど、やることはやっている。
そんな育ちのいい暦林太郎は、父親の会社に入社直前、スーツを選びに行った老舗百貨店で、百貨店内のコンシエルジュをつとめる立川に出会い、スーツを選んでもらう。
最初は同じ男として自分にないストイックな色気をまとう大人の立川に憧れを抱くが、立川の態度に一喜一憂する自分に、立川への恋愛感情を自覚してしまう…。
慇懃な態度なのに、どこかボンボンな林太郎をからかっているような人の悪さの滲む立川。
仕事は本当にデキるようで百貨店のコンシェルジュという職業にも興味が持てたけれど、とにかくキっツイというか、厳しいというか、ただのSなのか…!?
本当に林太郎はいい子なのに、もうこれでもかというほど頑張る林太郎を「ずたぼろ」にしてくれちゃってあんまり冷たく突き放すので読んでいてこちらまでベソかいちゃいました。(苦笑)
まあ林太郎はきっとその後、厳しい立川に嫌われたくなくて、頑張って男を磨いてどんどんいい子が素敵な男になっていくことになると思います。
そんなとき、ちょっとぐらい可愛い林太郎を絶対誰にも近づけさせたくない、と思って独占欲むき出しになる立川を見てみたいものです…。(笑)
Sッ気のある(攻)と健気な(受)のお話を読みたいときにオススメかも。