若手騎手の清見は漆黒のサラブレッド・ラクシュミに乗りたくて、馬主の星生からの「勝てばいいが負けたときは星生に清見のカラダ差し出す」という、とんでもない条件を飲んでしまう。
負けん気の強い清見は、もちろんレースには勝つつもりでいるし、負けても男のカラダの一つや二つ、どうということはない!ぐらいの気持ちで切望するラクシュミに乗れることに大喜びするが…。
【ホームラン・拳】【ディアプラス文庫】【2005年11月刊】isbn:4403521215
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★5<若くしてレース中に
落馬事故で亡くなった父親、
何でも話せる一つ年上で厩務員の亮太、
嫌なところもあるけれど、
苦い薬のように自分のためになることを言ってくれる星生、
そして気難しいところもあるけれど頭のいい馬のラクシュミ。
清見を取り巻くそれぞれが
絶妙に絡んでいて
競馬をまったく知らなくても
レースの部分も面白く読めたし、
もちろん恋愛部分も、
いつもああ言えばこう言う、と
賑やかなやりとりがあるかと思えば、
真摯な思いで辛い役を引き受けてくれる星生と
向き合う場面があったりして
緩急もよく、星生の、大人の余裕たっぷり
なんだか大人げがないんだかわからないギャップもよかった。