松岡なつき/旅行鞄をしまえる日

売れっ子モデルの坂巻敬太は、CM撮りの優雅な船旅の真っ最中。
でも唯一の不満は、客室担当のクルー・福地義喬。
接客マナーも完璧なイイ男だけど、なぜかその慇懃無礼な笑顔が気に食わなくて、事あるごとに反発してしまうのだ。
そんな時、ロケで出かけた小島でボートが難破!!投げ出された敬太は、義喬と二人きりで無人島に取り残されて…!?南の島のサバイバル・ラブ。


 


キャラ文庫 1999/05 史堂櫂

ISBN:4199000976


★4.5<豪華客船のクルーとして、優秀な働きを見せる義喬を、何故かモデルの敬太は初対面から気に食わなくて、挑発し、客には逆らえないのをいいことに、義喬を屈服させようと目論むけれどうまくゆかず、そうこうしているうちに事態は逆転。
敬太は義喬と二人きりで無人島に遭難し、サバイバル能力のある義喬とシティ派の敬太、力関係はおのずと決まって義喬に服従させられてしまう。

サバイバルの話しとしても、義喬の今までに出会った客の話しにしても、なかなかおもいしろく、また恋愛ものとしても、どうせ誰も自分の本質を見てくれているわけではなく、見目のいい容姿にしか興味がないのだ、ということを気にしていた敬太を、顔だけじゃなくすべての部分を好きになったのだ、という部分をもうちょっとクローズアップして欲しかったかな、というところは心残りもあるけれど、あれほど甘ったれの我侭王子みたいな敬太を屈服させようと、ちょっと意地悪く思っていた義喬が、最後に自分の方から折れて、気持ちをさらけ出してくれたのが私的にすごく好感が持てた。