直野儚羅/君に囁く未来

スーパービーボーイコミックス 2005/1 ISBN:4835217004

大好きな恋人である年上の和記が飛行機事故に遭ったかと思って身の凍る思いをした蓮次だったけれど、無事和記が戻ってきて一安心。
だと思ったのだけれど……。

★５＜いきなり▼ネタばれ▼してしまいますが、

これは結局和記先輩は亡くなっていたということで、

しょっぱなから悲しいお話かと心配したのだけれど、

その後のフォローストーリーがちゃんとあって、

生まれ変わって高校生になった和記と、

保健医になった蓮次としてのお話が続く。

若返った和記先輩と比べて、

どんどん老けていく自分に自信がなくて

和記を遠ざけようとしたり、

そんな蓮次の態度に、和記は和記で、

元の和記とは違う自分など、もう不要の存在かと

不安になったりする展開もいいし、

ラブラブになった後も、見た目は和記のほうが年下なのだけれど、

いつまでも蓮次の中では「和記先輩」であるがゆえに、

年下攻めのようなやりとりになっていて年上なのに甘える蓮次が可愛い。

あとは普通に学園ものとして話が続くのかと思えば、

今度は蓮次に異変があったりして笑えるし（笑）、

和記が転生したときの事で

地獄への召喚門の番人？なるオヤジが登場するお話では、

ドレッド頭でイマドキ風の高校生・京が、

いつのまにか、その何もかもをあきらめたようなオヤジに

ほだされてしまうのもすごくよかった。

あとはリーマンもの一編が収録。
社内でも平気で「不誠実なおつきあい」をしている櫟木に、

お人よしの課長が軽いお説教を。

それをきっかけに、櫟木は自分が不誠実なつきあいを

他の誰ともしないで済むように、課長自身が相手をするようにお願いする。

つくづくお人よしな課長は

そんな櫟木のお願いを受け入れてしまうが……。

性欲の捌け口扱いをしているように見せかけておいて、

実はひそかに課長を思い、

こんな関係であっても

少しでも課長の熱さを身のうちに感じる事が出来るのなら、

という気持ちを胸に抱いている櫟木がせつなくてよかった。